現在の西洋医学では、症状に病名をつけ、その症状を抑える薬を処方するのが日本の保険制度のほとんどの治療となります。歯科においても、まずはその虫歯を「削って詰める」という治療をおこないます。これは、残念ながら対症療法であり、根本的な治療ではありません。
電気を発明したあのトーマス・エジソンが「将来の医術者は薬を使わずに、人間の骨格構造、栄養、病気の予防に注意を払うようになるだろう」という言葉を残しています。
骨格構造については姿勢や歯のかみあわせ、左右のシンメトリック性がポイントとなってきます。歯のかみあわせがずれると、その瞬間に背骨がバランスをとろうと側弯してきます。また、偏った方向ばかりを使う仕事や運動、食事をしているときの姿勢などの悪習癖、さらには電気製品の携帯など、環境因子も非常に多いことがわかります。そのような環境による影響をいかになくすことができるかがとても大切です。
現代の野菜は栄養不足
また、栄養については、日本では昨今、農薬などによる土壌汚染の影響もあり、同じ食品でも昔と現在では栄養価が大きく違ってきています。例えば、鉄分。ニンジンは1951年には1本につき2・1㎎含まれていますが、2000年には0・2㎎。ほうれん草では、1951年は13・0㎎だったのが2000年には2・0㎎と減少。同じ外見でも中身は全く別のものになってしまっているのです。
身体の生化学では「マグネシウムが無ければエネルギー生産やその他の生命活動は一切おこなうことができない」といわれるほど重要なミネラルなのに不足しているといわれています。食事からの摂取に加えて、さらに200㎎のマグネシウムが必要といわれています。不足すると瞼のチックがおきたり、足がつったりしてきます。マグネシウムは細胞の中にカルシウムが入らないための見張り番の役割を果たしていますので、不足すると細胞が正常に機能しなくなってしまいます。ほかにも、がん、糖尿病、腎臓病、高血圧、不整脈、動機、骨粗鬆症、ぜんそく、湿疹、蕁麻疹、うつ、不安、慢性疲労、頭痛、不眠、歯周病、などありとあらゆる症状を生むといわれています。思い当たる方は、薬を飲む前に、まずマグネシウムを補給してみてはいかがでしょうか。60兆個の細胞が最大限機能できるようにしてあげることが、すべての病気を治す引き金になるのです。栄養素を補うには、本来なら食事で補うことが理想的ですが、食材の栄養素が減少している今、サプリメントも有効となるケースが増えてきました。ただし用量の取り過ぎに注意が必要なことを忘れてはなりません。容易に大量に栄養素を補給できてしまうからです。少し話は逸れますが、最近では、コンビニなどでもトランス脂肪酸フリーや、保存料などが無添加の商品も登場してきているようですね。
「食べない」という良薬
細胞機能を一度正常に戻すためには断食がとても良いことは知られています。なぜなら細胞自身が余剰なタンパク質を食べ始めたり、再構築を始めるからです。ドイツの古いことわざで「断食で治らない病気は、他のどんな治療でも治らない」といわれていたり、フランスでも「断食はメスを使わない手術である」とされ、アメリカのベンジャミンフランクリンは「すべての薬で一番良いのは休息と断食だ」と断言しています。
技術や知識をもち、薬を開発し、人が人を治しているように感じますが、治しているのは、実は私たちの細胞自身なのです。「God only knows」神のみぞ知る世界は人間は入れない神聖な場所なのです。
私は「細胞環境デザイン学」を歯科の歯周病や虫歯治療に応用しています。歯茎の細胞も60兆個の細胞の一部分ですので、栄養のバランスを整えることは大切なのです。その栄養を必要な場所にちゃんと運べるようにするには、身体の歪みもとらなければなりません(かみあわせ治療と整体)。もう歯ブラシだけの時代は終わりです。環境とともに医療の質も変化していかざるを得ないのです。