自然治癒力をもった小宇宙人体と齒 (院長の独り言)

98今こそ、免疫力を高めるとき

 人に理解してもらいたいと話をするときに、言い方や表現の方法で受け取る側の〝焦点〟が決まるといわれます。

たとえば急カーブの山道などでよく目にする「事故多発」という警告看板。この文字を見たときに、運転手は事故を連想しています。また母親が子どもに「お母さんが帰ってくるまで、このお菓子を食べてはいけないからね」と言うと、子どもはすぐ食べている姿を想像してしまいます。「お母さんが帰ってきたら、一緒に食べよう」と伝えれば、あとで一緒に食べる姿を思い描くようになります。どういうイメージを持つかによって、その人の行動は変わるし、また変えられるということにもなります。人は頭のなかで連想したものに引っ張られる傾向があるからです。

そう考えると、プラス思考、マイナス思考とよくいわれますが、なるべくプラス思考でイメージを持ったほうが、人生は良い方向に流れていくことが多いのではないでしょうか。

今回の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、テレビ各局は毎日のように〝自粛〟の必要性を報じています。しかし同じように自粛を促したとしても、表現の仕方によってまったく反対の行動を連想させる可能性があるように感じます。

他人を思うからこその自粛

 歯科ではインプラントなどの手術もおこないますので、そのような場合には本来、大病院の手術室のような環境が必要となります。厳格なゾーン分け(菌が付いているところと、付いていないところ)を明確にしなければならないのです。

コロナの場合も同じで、ウイルスがある場所とない場所をしっかりと区切る必要があります。感染者の多い東京と感染者が出ていない岩手県など、各地域によって温度差はありますが、ウイルスは人が運ぶので、ふたつを線引きするには、やはり動かないことが大切なのです。

この6月号の原稿を書いているのは4月末ですが、このゴールデンウィーク後の状態が、今よりよくなっていることを願っています。

そのためには自分がこれをしたい、あれをしたいということではなく、いつも相手を思って「もし無症状でも、自分が感染しているとしたら」と考え、行動を見つめなおすことが必要だと思います。そのための〝自粛〟なのです。皆さん一人ひとりが今一度、対人関係の基本に戻ってみられたらよいなと思います。未だ解明されていない新型コロナウイルスではありますが、感染した状態であっても、個人の免疫力があれば重症化は避けられるのではないかと考えます。

その免疫をあげるにはどうしたらよいのでしょうか。栄養学的アプローチでビタミンCやビタミンD、マグネシウムなどの補給や、緑茶のカテキンの作用やニンニクなどの健康効果の高いものも大切という考え方もあります。また、逆にトランス脂肪酸や人工的な添加物などは細胞の膜を固くしてしまったり、細胞の代謝に負荷をかけてしまいます。口にする食品にも気をつけなければなりません。

さらには口腔内にすでに感染症があるかないかで、免疫力に大きな違いが出ます。虫歯や歯周病、また目に見えない根尖病巣などがあれば、そこから血管を介して全身に細菌は回ってしまいます。すでにその細菌との戦いがおこなわれているところに、さらにウイルスが侵入すれば、身体が悲鳴をあげてしまうのはいうまでもありません。現在アメリカでは、がんも歯周病などをきっかけとした慢性炎症から免疫が落ちて発症するといわれています。

骨格も歪みがあると、血流が悪くなることによって、免疫低下を助長しやすくなりますので、歯科医の立場からすると、かみ合わせなどのバランスも大切です。また今こそ食生活も基本を大切に、植物性のものを多く摂取し、免疫を上げていくことが必要なのではないでしょうか。

97 エネルギーを放つ

 エネルギーを放つということについて、歯科治療に共通することを書いてみたいと思います。

エネルギーを放つために大切なことは二つあります。一つは想いを寄せることです。想いを一つに絞るといっても良いのですが、ああかな、こうかなと悩まず、思い切ることが一番大切です。具体的には、イメージの世界で、たとえば黒い色を思い浮かべ、それが完全に金色に変わるイメージをもちます。私の場合、夕日がビルのガラスに反射して金色に光っている場面や、金属をバーナーで熱して溶かしたときに、融点に達して金色に光りながら溶けて液体になる場面を想像したりします。これはご自分の体験から記憶を引っ張り出してきたほうがやりやすいと思います。

そして、二つ目に大切なことは、想いを寄せたものを動かすということです。まずは自分の身体のなかで動かし始めます。イメージするだけでも動かすことはできますが、一番簡単なのは呼吸を使うことです。呼吸に合わせて、左手から右手に、イメージした金色の光の塊を動かします。すると、ちょっと手が反応して、しびれるまではいかないですが、そのような感じで伝わります。呼吸と連動して手の感覚も変化します。それができるようになったら今度はその光の塊を、手だけではなく、自分の身体全体に光を充満させていきます。

これだけで脳内ホルモンが活性化され、自分自身が幸せな状態になりますが、これは具合の悪い方の治療にも活用することができます。その場合、身体全体に充満させた光を、患者さんの身体に入れていきます。私は昔、座禅をしているときに、呼吸を繰り返すなかでこの手の感覚の変化を覚え、それを何十年とかけて日々無意識に実践してきました。そして、実際に患者さんの状態に変化があることを確認してきましたので、ほぼ間違いないと思います。

目に見えないものを感じる

ヒーラーやシャーマンなどが病人を癒すことがありますが、まず一番大切なのは、基本に戻って祈ることです。

目に見えないことは伝わりにくいものですが、キルリアン写真という指先のエネルギーを可視化して写真に残すものがあります。これを使うと、かみ合わせの調整前後でエネルギーの違いがわかります。最近では、そういった変化を視力で判断しています。当医院では診療台の前に視力計があり、術前と術後で見えやすさの変化を確認することもあります。視力であればよくなった感じを体感できますし、さらには、身体の重心を左右均等に感じられるようになっていきます。そうすると患者さん自身の自然治癒力が倍増し、元気になる方が多いのです。

今回は、普段絶対に書かないことを書いてしまいましたが、恐らく、繊細な方のなかには、この文章を読んだだけでも身体に変化がでている方もいらっしゃるかもしれません。自然でない状態を自然の力を借りて自然にするような環境づくりをするのが治療なのかなと思います。本当のところをいうと、失った歯の再構築以外、治すのは患者さんご自身なのです。

新型コロナウイルスへの対策

現在世界中が新型コロナウイルスで大変なことになっています。手洗いやうがい、マスクなども大切ですが、一番大切なことは口で呼吸しないことだと思います。舌の先を上の前歯の後ろの歯茎にぴったりつけ、通常の呼吸の仕方である鼻で呼吸をすることをお勧めします。仮に喉にウィルスが付着したとしても、その状態では喉が乾燥しないので、免疫システムが働きやすいといえます。それから、極端でちょっと語弊があるかもしれませんが、自宅待機中、今までできずにいたことにトライしてみるなど、今起きていることを、命を護りながら、無理にでもプラスに捉えてみてはどうでしょうか。

96身体を慈しむ

 先日、空港のレストランでビールを頼み、食事をしました。その後、飛行機のチェックインをすませラウンジでもう一杯、フリードリンクのビールを飲みました。喉が渇いている最初の一口に飲んだのとそうでないのとでは、当然味が違うのかもしれませんが、不思議とお金を払って飲んだ前者のビールのほうが格段に美味しく感じました。厳密にいうと味は同じなのですが、それを味わう環境が違うということに気付かされました。当たり前といえば当たり前ですが、普段、そんなことにはなかなか気付かないものです。ちまたでとても美味しいと話題のレストランへ行ってみても、接客が悪いと同じものを食べてもまったく美味しく感じないのと似ているようにも感じました。

値段だけではない比較

 皆さん、今まで歯の被せ物の治療をする際に、歯科医院間で値段の比較をしたことがあるでしょうか。自由競争の社会ですから、たとえばキュウリ1本にしても、こちらの八百屋さんと隣のスーパーとで比較して、同じものであれば安いにこしたことはありません。しかし、一方は農薬使用、他方は無農薬という場合、無農薬を選択したい方は、たとえ少し値段が高くてもそれが許容範囲であるならば、その方の欲するものを選ぶのではないでしょうか。
 
歯の被せ物の治療では、被せ物の形やそれに接触する上下の歯をどこでどれだけの大きさで当てるか、顎の位置をどこで歯止めするか、顎が横に動いたときの軌道など、さまざまな目に見えないことをセラミックの歯にインストールしなければなりません。仮にセラミック歯を入れたときに、かみあわせで上下の歯がまったく当たらなければ、その歯はおそらくほぼ一生壊れることなく保たれるでしょう。部屋の角に置かれた花を活けている花瓶のように、その場に静置してあれば、地震や誰かが間違って花瓶を落とさない限り、一生壊れることはないのです。しかし、その歯に顎の位置を歯止めし、身体を歯止めするという機能が必要な場合、その機能をもたないセラミック歯を入れることで病気や身体の不調がでてしまうのなら、値段以外の点でなにがよいのかを考えなければなりません。そもそも花瓶と違い、咬むたびに毎回コンコンと咬み合う歯がカナヅチのようにその歯を叩いているわけですから、壊れやすいのも致し方ないわけです。
 
つまり、機能させると壊れやすいという不条理が生まれてしまうのです。自分の天然の歯でも壊れてしまうのですから、人工的に作ったセラミック歯が天然の歯に勝ることはないのです。
 
また、たとえば、ハイスピードでコーナーを回るレーシングカーが装着するタイヤとファミリーカーのタイヤとでは、同じ材質であっても形や性能が違うことは当然ですが、その耐久性も違い、過酷な環境で使われるレーシングカーのタイヤはピットで交換をしなければ最大限のパフォーマンス(コーナーをハイスピードで曲がる)を続けることはできません。健康のありがたさも、いざ病気になったときに思い知らされることが多いですが、普段から健康を意識し、身体に感謝する想いやメインテナンスの時間を取ることは大切だと思います。
 
特に、固い物を咬むときに食べ物を細かくし、第一段階の消化の手助けをする奥歯は、普段意識することなく、あまり見ることはありませんが、悲鳴をあげているかもしれません。歯をはじめ、身体の全細胞に対し慈しむ思いをもてば、健康を持続できるのではないでしょうか。既に治療してある歯を含め再び歯の治療をしなくてよいように、その方の環境によりますが、3カ月から半年に1回は口腔内のチェックを入れるとよいでしょう。『虫歯から始まる全身の病気』という本で述べられていますが、すべての病気はお口から始まります。食べ物の選択と口腔内管理をしっかりしたいものです。

95お口を「開く」ために

 今月のお題は「開く」。開くというと開拓とか、開いて前に進んでいくという前向きなイメージをもちます。私は歯科医師ですので、このお題に歯を絡めて原稿を書こうと思います。
 
臨床で開くというと、「お口を大きく開けてください」というやり取りが一番関係あるかなと思います。最近、お口が最後まで大きく開かない方や真っ直ぐ開かない方がとても多くなっています。お口を開ける途中でなにかがひっかかったような感じがしたり、音が鳴ったりと、顎関節症の方が多くなっているのです。
 
その原因を診てみると、まず、虫歯で歯が崩壊したとか、歯を治療して高さが変わり、かみ合わせが変わってしまったことが考えられます。かみ合わせが変わると顎の位置が変わってしまうからです。かみ合わせが正常な状態より低くなると、身体が固くなる傾向もあるようです。また、最近ではお口の中に原因がないことも多くなってきました。たとえば、姿勢が悪いことや栄養学的な問題、毒物や重金属の蓄積も原因として考えられます。
 
姿勢については、リクライニングシートに座っているときのようなズルっとした座り方をよくしている場合、腰椎が後方に変位し、背骨のS字湾曲が消失してしまい、原因の一つとなり得ます。この場合、腰をしっかり入れて座るだけで、スムーズにお口が開くことがあります。また、スマートフォンなど長時間使用することによりストレートネックになっている場合も、お口の開きにくさが起こります。姿勢を良くするためには、軽度な体操や運動、ストレッチも必要です。
 
姿勢に加えて、栄養学的な問題もあります。トランス脂肪酸の摂取により、関節、筋肉、細胞が固くなり、顎の動きが悪くなることで、お口の開きにくさに加速をかけていることがあります。この場合、トランス脂肪酸を排除し、ほかの油も控え、亜麻仁油のようなオメガ3脂肪酸を多く含む油を摂る必要があります。細胞膜は脂質でできており、摂取する油の種類はとても大切です。トランス脂肪酸は海外では規制がありますが、なぜか日本には規制がないため、トランス脂肪酸を含む食品が日本に集中して入り込んでいます。なんでもすぐに手に入る日本の便利な環境ですが、お口に入れるものは、良いものと悪いものの選別が必要です。
 
さらに、毒物や重金属の蓄積も問題です。健康を考えファステイングをしたりして細胞環境は良くなっているはずなのに、なにか調子悪いという場合、お口の中の詰め物の種類などをチェックした方がよいでしょう。お口の中にアマルガムという水銀と合金で作られた金属が充填されていることがあります。アマルガムは25度で蒸発し始めるというデータがあり、口腔内がその温度より高いと、いつも気化した水銀を吸入していることになってしまいます。それにより血液中のヘモグロビンの酸素を運ぶ力が弱まり、全身各所で酸欠状態となり、免疫がおちたり、疲れやすくなったり、運動機能が低下したりしてしまいます。歯科医院でお口の中のアマルガムを削って外すときにも大量の水銀が飛びますので、注意が必要です。アマルガム以外に食べ物でも、食物連鎖上位の大きな魚や、海や川の底に棲む魚には、水銀が多く含まれているといわれています。

新たな病気の心配も

 身体の筋肉を伸ばしたり縮めたりして動かすのには、脳や脊髄から筋肉に送られる電気信号が関係しています。身体につけている装飾品や携帯電話、時計を外すだけで、筋肉が正常に動く方もいます。デジタル化が進むなか、今、5G(第五世代移動通信システム)が普及しようとしています。大容量のデータを速く送ることができるのは快適ではありますが、新しい病気が出てこないことを祈らざるを得ません。ヒトは自然、そして宇宙と同調するものなのです。

94身体を調整する動き

 朝、目覚めて身体を動かそうとするとき、皆さんはどのように動き始めますか。すぐに飛び起きてもなんともないという方もいらっしゃると思いますし、少しずつ膝などの関節から動かし、軽く体操してから起きるという方もいらっしゃるでしょう。若いうちはなにもせず飛び起きていたという方が多いと思いますが、私も55を過ぎ、起きるまでにはいろいろな準備をするようになりました。なぜなら、寝ている状態と立った状態では重心バランスが違い、立ったほうがバランスを取りにくいと感じるからです。そんな私の朝の状態をご紹介しようと思います。

身体の左右差を調整する

 目が覚めると、まず、寝たままの姿勢で膝を立て左右に倒します。そのときに腰の左右差や、緊張度合いが左右対称かを診ます。その次に左右の膝を抱え込み胸に着くようにします。このときも左右差がないかをチェックします。さらに膝を外側に向け股関節を開き、ゆっくり左右差を診ます。そして足の指を一本一本曲げたり伸ばしたりします。これで下半身は終わりです。
 
次に寝たままの姿勢で首を左右に回します。それから右の手の平を頭の後ろから左の首筋にあてがい、首を左後ろに倒していきます。またその反対もします。そのときにも左右差を診ます。そして手首を左右に回し、指を一本一本曲げていきます。そこで初めて立とうかなという気持ちになります。
 
立ったときの重心バランスはとても大切で、なるべく筋肉を使わないで立てるのが理想的です。重心が真ん中にあると力が最小限ですみます。このような動きを、おおよそ2~3分かけ、身体に聞きながら必要な動きをしています。その後、走ることもあるのですが、そのときは、肩入れストレッチをしながら腰の位置が中心になるように確認してから走り始めます。そうすると楽に走れるからです。

簡単にできる調整法

 前述のようなことが面倒くさい方には、もっと簡単な調整法があります。頭蓋骨の左右を揃えるイメージで、頭の左右を両手で押さえてストレッチをすると、身体の左右が簡単に揃います。身体のバランスは頭(脳)が決めているからです。
 
それも面倒くさい方は、顎を左右に動かし、口を開けて両手の人差し指と中指を下顎にひっかけて咬んでみてください。咬むときに頭が下がりますので、頭は少し上向きに固定したまま咬むようにします。咬む力を利用して頭の左右差を均等にするように、咬む方向を調整してみてください。
 
重症筋無力症という全身の筋力が低下していく難病がありますが、その患者さんの最後まで動く筋肉が、顎の筋肉と呼吸筋だといわれます。顎を動かす筋肉は、食べるために必要だからかもしれませんが、人間本来の原始的な筋肉と思われます。顎を左右均等に動かせない場合、身体の不調が必ずあるはずです。歯がない方は頭のストレッチを、歯がある方は咬むことで、身体の調整ができるということです。
 
科学的にはまだ解明されていませんが、頸椎が7本あり、歯が左右にそれぞれ7本あることにも、なにか不思議な因果関係があるように思えます。漢字には意味が込められています。頸椎の2番目には「歯突起」という突起があるのですが、これはかみ合わせの中心が頸椎2番にあるという証なのかもしれません。
 
 「歯」は、「米を口に止める」と書き、日本人の主食の米を食べることを意味します。旧字体の「齒」は、「口の中にある舌の位置やかみ合わせの平面、齒が人の左右のバランスや上半身下半身のバランスを止めている」という意味です。古の人は、米(玄米)を食べることで身体の中心ができることや、身体のバランスに歯が関係していることを知っていたのではないでしょうか。

93自分に合った歯科医院

 毎月思うままに原稿を書かせていただいておりますが、こちらからの一方的な話だけではなく、読者の方からのリクエストや質問、また今歯科で悩んでいることや困っていることなど、具体的な状況がわかれば、お答えしていきたいと考えております。そんななかでいくつか質問を頂きましたので、今回はそれにお答えできたらと思います。

歯科医院を選ぶのは難しい

 
 頂いた質問のひとつが、「自分にあった歯科医院選びとは、どういったものでしょうか」という質問です。この質問に対して、私は、「残念ですが、世の中で一番難しいのが歯科医院を選ぶことなのではないでしょうか」と思っています。
 
歯科医院を選ぶ基準はなんでしょうか。その方のお悩み、治療技術や治療方法、知人の紹介やネットの口コミ、医師やスタッフ、病院の設備や雰囲気、もちろん通いやすい立地も大切ですし、時間のない方にとっては早さも大事かもしれません。最新式設備が整っている病院や、新しく綺麗な病院のほうが良いという方は多いでしょう。
 
患者さんがとても多くはやっている病院がよいかというと、はやっているのにはもちろん良い理由があると思いますが、たくさんの患者さんを時間内に診察しなければならないために、言い方を変えると、なかなかじっくり腰を据えて治療ができないかもしれない、という考え方もあります。かといって、はやっていない歯科医院がよいかというと、本当にはやっていない悪い理由がある場合もあれば、一見はやってないように見えても、一人ひとりにじっくりと時間をかけて治療するために予約を制限している場合もあるかもしれません。また、人から「あそこの歯医者さんがいいよ」と紹介された場合に、紹介してくれた人が良いと思った点と紹介された自分の状態や感覚などが相違していると、なかなか良かったとは思えない状況がでてくるかもしれません。
 
歯科医院選びは、さまざまな条件に妄想が膨らみ、結局グルグル回りで決断できずにいることも多いのではないかと思います。そうやって迷うのは、どんなことにも二面性があるからではないでしょうか。

経験から学んだ病院の選び方

 私は歯科医をしておりますが、小さいころから小児ぜんそくがあったり膝を怪我したりと、その度にそれぞれの病院に行き、いろいろな経験をしました。そのなかで、先生と対面しているときには自分の症状や状態をもっと知ってもらいたいと思うのに、なかなか先生と話ができずに次の患者さんのところに行ってしまい、こんな状態で任せて大丈夫なのかなと思ったことが多々ありました。病院とはいえ、初めて会った人に自分の症状や思いや痛みを短時間で的確に理解してもらうのは難しいものです。自分の身体を預けるということに対してこちら側が慎重になりすぎていたのかもしれませんが、そんなことが多かったように思います。そのような、ある意味貴重な体験があったことが、私が今の完全予約制の診療体系を作った根本なのかもしれません。
 
 先生の技術は直接治療を受けてみなければわからないですし、受付やスタッフの対応も実際に行ってみなければわからないものです。そんななかで病院を決めなければならないわけですが、やはり、実際に病院に行ってみてその雰囲気や先生の人となりを見ることが一番良いのではないかと、自らの経験から思います。自分の一番の希望を叶えてもらえるところが良い病院なのだと思いますが、歯科医学的に現状に適した理想を提案し、それが実現でき、なおかつ痛みや苦痛がないということは、もっとも大切で外せない基本だと思います。また、安心して病院にかかるためにも、現状の症例に対して経験が豊富なことも必要なことでしょう。

92整理と整頓

 「整理」と「整頓」は、乱れたものを整えるという共通した意味をもち、ひとまとめに「整理整頓」と使われることが多いですが、「整頓整理」とはいいません。整理は乱れた状態を整えること、不要なものを取り除くことを意味します。整理の「理」は道理や理論などに使われる字で、物事の筋道という意味があり、筋道を沿うように整えるのが整理です。整頓も整った状態にする、かたづけることを意味しますが、整理のように不要なものを取り除くという意味はありません。整頓の「頓」も整えるという意味で、とにかく整えること、正しい位置にきちんと置くのが整頓です。無駄なものを捨てる整理の後、正しい位置に置く整頓をするので、整理整頓という順になるのです。
 
スティーブ・ジョブズの言葉に「なにかを捨てないと前に進めない」というものがあります。また、カナダのミュージシャンでありベジタリアンとしても知られるブライアン・アダムスは「一つのドアが閉まれば、もう一つのドアが必ず開く」と言っています。これらの言葉は、古いなにかを整理し捨てなければ新しいなにかは入らないということを表しています。
 
物理的に考えても、湯飲みにお茶が満杯だと新しく注ぐお茶は外に流れ出てしまいます。湯飲みにお茶が半分の状態であれば、残り半分の分だけ新しいお茶が入るわけです。ところが人は、新しいお茶が注がれることが本当にあるのかという疑いがあるために、なかなか今あるお茶を減らせないでいます。古いなにかを捨てることができないのです。しかしそれを捨てることができる人は、なぜか捨てた後に必ず新しいなにかと出会い、それを埋めることが偶然、または必然に起こるということを体験しているのではないでしょうか。

バランスをとるための不調

 人間の健康は地球上で1気圧のもとに生活するなかで得られるわけですが、台風が来て気圧が低くなると、いつもより身体が膨らんでしまいます。そうすると1気圧のもとでバランスがとれていた部分のバランスがとれなくなり、なにかしらの歪みが症状となって現れるわけです。低気圧になると不定愁訴※がでるという方を低気圧症ということがありますが、目に見えない気圧と身体は常にバランスをとっているのです。
 
たとえば、なんらかの病気で臓器を摘出したとしましょう。内蔵の大きさや形、位置には個人差がありますが、おおよそは決まっています。その決まっているところに当然あるものがないと身体はバランスをとろうとします。おそらく、臓器の位置が変わったり、空いた空間を脂肪で埋めようとしたり、圧に堪えきれずに背骨が湾曲したりして、後遺症のようにほかの部位でなにかがおこるのです。そしてそれが現れるには時間差があります。

歯止めの重要性

 このようなバランスをとるために起こる症状としてもっとも多いのが虫歯や歯周病ではないかと私は考えています。重心のバランスが崩れることにより、かみあわせが本来の位置でなくなり顎がずれようとして、歯に異常な力がかかり、知覚過敏やしみ、虫歯や歯周病、顎関節症になるのです。現在の西洋医学では、悪いものは排除するという部分を「整理」することでの対応が各セッションでおこなわれているために、トータルバランスを保ち「整頓」することが難しいのです。
 
以前、膝の手術後に首が痛くなり、首の手術が必要だといわれた患者さんが、手術の承諾をしなければならない日の午前中に当医院に来院されたことがありました。その方は身体のバランスの「歯止め」を失っている状態でしたので、マウスピースで身体のバランスの歯止めをかけましたら、不思議と首の痛みが消失して、とても若返ったと周りの人から言われるまでに回復されました。歯止めは大切なのです。

91健康になるために

 若いころはラジオ体操の意味がわからなかった私でも、年齢を重ね少しずつ健康というものを意識するようになってきました。今回は、健康の基本について考えてみたいと思います。 
 
まず、健康の定義はなんでしょうか。皆さんどこかで耳にしたことがあるかもしれませんが、世界保健機関(WHO)では、「健康とは、何事に対しても前向きの姿勢で取り組めるような、精神および肉体、さらに社会的にも適応している状態をいう」と定義されています。原文は次の通りです。
 
“Health is a state of complete physical, mental and social well–being and not merely the absence of disease or infirmity.”
 
原文が英語なので、微妙なニュアンスを日本語にするのが難しいですが、WHOでの和訳は上記のようになっています。それをもっとかみ砕いて考えてみようと思います。

健康の定義を考える

 以前、東京大学口腔外科の西原先生が次のようなお話をされました。「脊椎動物門・哺乳類網・霊長類目・ヒト科の人間の健康とは、時間と空間と空気・栄養物質と温熱・圧力・湿度などの環境エネルギーと重力作用の円満な調和の上にのみ成立する健全な生活状態の複合体である」「栄養に偏りがない上に栄養不足と過剰とならず、よく咀嚼して食べ、おのずからなる腹式横隔膜による鼻呼吸と、意志による胸式の呼吸の違いを知り、正常な空気を正しく鼻を通して横隔膜で呼吸し、寒すぎず暑すぎず、適正な湿度と1気圧の元で、1日に子供で9~12時間の睡眠をとり、体の筋肉を無理せずにまんべんなく動かし、個人が生活する上でゆとりある時間の流れの中で、ゆとりある空間のもとに生活しなければ、健やかさが長期に維持できない。生体力学的には左右差のないように体を使い、左右のねじれを除く筋肉運動を緩やかに行って細胞呼吸を活性化することが肝要である。これにより躍動する生命活動の基礎となる体を構成する60兆個の個々の細胞の活力が得られる。これで漸くにして均整のとれた形の健康と機能の健康、色調の健康の調和が得られ生命エネルギーの満ち満ちとした輝きのある生活が得られることとなる」
 
このようなことに加え、私は、健康は「氣」「重力」「運動」「食」「環境」「感染」の6項目について、バランスをとることが重要だと考えています。具体的には次の通りです。
 
「氣」については、感情のコントロールが必要なときもあるかもしれませんが、愛、貢献、感謝を基に心が安定していること。「重力」については、無重力の宇宙では骨がスカスカになってしまう変化を踏まえて考えると、重力場での生体バランス・歯のかみあわせ・二足歩行・整体・姿勢の確認などが必要だと思います。「運動」については、いま一生懸命取り組んでいるスポーツが、左右バランスを崩す運動ではないかを確認したうえで、もしバランスを崩す運動であるなら、それを補正すること。「食」については、完全植物性かつ食べ物をまるごと食べる全体食を基本とし、そこからいまの自分がどのくらい離れているのかを確認したうえで、日々バランスをとるようにすること。そして病気のときには完全植物性を実行すること。「環境」については、生活環境や職場環境、睡眠環境の確認と、電磁波など見えないものに対する意識。有害物質(歯科金属アマルガムや重金属汚染を含む)からの防衛。「感染」については、皮膚や粘膜からの出血がないかの確認、歯肉炎・歯周病や根尖病巣などがないか歯科医院で定期検査を受けること。
 
以上のことがとても重要だと考えます。歯科に関する部分は、専門の医師でないとわからないことが多いため、完全な健康を得るためには、前述のように歯科医院に行くことをおすすめします。

90身体が求める波動

 身体の臓器や器官、組織はそれぞれがその機能に必要な形を成しているだけでなく、さまざまな色をもち、特有の波動(波長)を出しています。そのことを基本に考えると、どこかの組織の具合が悪くなったときには、その組織のもっている形や色、音(周波数)が乱れていると考えられます。そこで本来の波動に同調させることで、悪い部分が消えたり、具合が良くなったりするのではないかと予測がつきます。同調させるというのは、乱れている波動にその組織が本来もっている固有の波動に戻るような修正波動を当てるということです。
 
身体が一番波動を感じやすいのは、音楽を聴くことだと思います。大音量で音楽を聴いてみると、その音のバイブレーションが身体の細胞を振動させるのがわかります。そのバイブレーションはそれぞれの歌い手の歌声や音程、その音楽のなかの「ド」「レ」「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」「シ」「ド」という音階の使い方により違います。探し出すのは難しいかもしれませんが、たとえば、のどが痛いときには誰々のこの曲が私には合うといったことが、必ずあるはずなのです。これはみんな同じではなく、人それぞれの体格や周りの環境、地球における位置など、宇宙規模でその人を取り巻くさまざまなものが、その人に合う音を導き出すのだと思います。この人のこの曲が好き、聞きたいというのは、ただ単にはやっているからという場合と、直感が選んだ場合、すなわち現時点で身体が欲している波動だからという場合とがあるのかもしれません。
 
人間は光が物質化したものといわれます。目には見えませんが、人にはチャクラという7つの色をもつエネルギーの大きな輪があります。実は、そのそれぞれにドレミファソラシドの7音階が対応しているのです。また、虹の7色はチャクラの7色になっています。
 
身体で7つのものというと、歯は左右に7本(親知らずを入れれば8本ですが)、頸椎の骨は7個です。また、暦は1週間が7日です。そろそろなにが言いたいか察していただけたかもしれません。それらはすべて、7つのチャクラに対応しているのではないでしょうか。

病気の原因
 病気になるということは、健全な波動が乱れることをしているということです。人間関係も波動に影響します。人に迷惑をかけている人や、人を人だと思わないような環境にいる人、間違っている方向に進んでしまっている人などは、波動が乱れています。また、食べ物で波動が乱れることもあり、自然な波動をもっていない人工的に加工された食品や、農薬漬けの作物、トランス脂肪酸などの質の悪い油なども影響するわけです。
 
今、なにか体調のすぐれない方、物事がうまく運ばない方などさまざまな方がいらっしゃると思いますが、今一度自分の周りの環境を整え、自分の行動を顧みることが大切なのではないかと感じます。これは私自身にもいえます。「病は気から」といわれますが、病気の「気」から立て直してみることが大切なのではないでしょうか。「気持ち良く暮らす」には、自然の流れのなかで直感を信じ、我欲に走らず、誰か人のために行動していくことが大切だと感じています。
 
過去の連載や今回の話からもうお気づきかもしれませんが、虫歯は、頸椎や姿勢の歪みなどを支えるためにできます。だから、その虫歯を削って治すにはとても注意が必要で、安易に削ることは避けなければなりません。なぜなら、貴方の身体の支えを失ってしまうからです。
 
原因不明の体調不良も、もしかしたら気がつかないうちに身体の支えを失っていることが原因かもしれません。そういうことを考えに入れてみても良いのではないでしょうか。

89歯科医と職人

 以前は職人気質といわれるような頑固な職人がどの分野でもいたものです。たとえば自動車を修理するのでも、「どこが悪いか」「この音が出るのはなにが悪い可能性があるのか」と具合の悪い部分を見つけ出し、直すという行程が踏まれていました。昨今は自動車にもコンピューターなどが多用され、ある部分が壊れてしまうと周辺部分も含め一式交換という方法で修理をするようになってきています。このような方法では、具合の悪い部分を直すのではなく交換してしまえばよいという考え方で、ある意味職人はいらないわけです。

歯科医は職人のようなものです。「こういう症状が出る場合は原因としてなにが考えられるか」「どのような治療の選択肢があるか」ということを考えながら治療していきます。

たとえば、骨の状態やかみあわせなど、さまざまな条件が整っていることを確かめたうえでインプラント治療をおこなうことはあります。しかし、ちょっと具合が悪いからといってすぐに歯を抜いてインプラント治療へという安易な考え方は、大変危険だと思います。なぜなら、インプラントにしてもどんな処置にしても、現状を作った本当の原因にアプローチしなければ、治る方向に導くことはできないからです。本当の原因に焦点をあてないと、いずれまた同じトラブルが起こります。現状が変化した場合、必ずその現状を変化させたなにかを突き止めなければなりません。現状の変化は目に見えますが、その本当の原因は目に見えません。私はいつもその見えないところに注目しています。

職人を養成する難しさ
 職人の養成は日本の伝統を守るために必要なことですが、労働条件などの法律的な縛りによって、少しずつ難しくなってきているようです。手前味噌ですが、私の医院の受付の壁は、職人の手により珪藻土を使って大変美しい扇形の紋様に仕上げられています。その美しい仕上がりを習得するためには大変な時間がかかっているはずです。技術職というのは、師匠から教えを受け、それを真似していくという行程を踏みます。それも、言葉で教えてもらうことより、師匠のやっていることを見ながら盗むということが多いわけです。今の法律では、弟子がまだなにもできない状態でも、雇用関係があれば当然賃金を支払わなければなりません。労働についてあまりに細かく法律で規制したがために、技術職における師弟関係のシステムが壊れてきているのではないでしょうか。かつての師匠と弟子の関係では、弟子はできるまでやらせてもらう、できるまで帰らない、できるまで賃金を頂かないという姿勢があり、師匠からすれば材料や時間などの損失があっても、何回も何回も頑張る弟子に対して、職人になるまで諦めずに愛情をもって接する姿勢がありました。それは雇用関係ではなく師弟関係であり、そのなかで両者のバランスがうまくとれていたのでしょう。労働に関する法律は、労働者を守るためにも、雇う側・雇われる側のバランスを取りながら会社を発展させるためにも必要なことだと思いますが、専門的な分野のある意味修行に似た行程においては、どうしても足かせになってしまうことがあるのかもしれません。

全体の調和
 自動車修理の場合、部品を一式交換してもしっかり走れるように調整できますが、身体の治療の場合、現在の医療では、細分化した一つの分野でしか治療がおこなわれず、全体の調和という視点が不足しています。その調和がとれないとなにかしら身体の不調を感じながら生活を続けなければならず、さまざまな科を転々とする、いわゆる医療難民が生まれてしまいます。それを防ぐ意味で、最後にかみあわせで歯止めすることが、時代の変化とともに必要となってきていると感じています。