92整理と整頓

 「整理」と「整頓」は、乱れたものを整えるという共通した意味をもち、ひとまとめに「整理整頓」と使われることが多いですが、「整頓整理」とはいいません。整理は乱れた状態を整えること、不要なものを取り除くことを意味します。整理の「理」は道理や理論などに使われる字で、物事の筋道という意味があり、筋道を沿うように整えるのが整理です。整頓も整った状態にする、かたづけることを意味しますが、整理のように不要なものを取り除くという意味はありません。整頓の「頓」も整えるという意味で、とにかく整えること、正しい位置にきちんと置くのが整頓です。無駄なものを捨てる整理の後、正しい位置に置く整頓をするので、整理整頓という順になるのです。
 
スティーブ・ジョブズの言葉に「なにかを捨てないと前に進めない」というものがあります。また、カナダのミュージシャンでありベジタリアンとしても知られるブライアン・アダムスは「一つのドアが閉まれば、もう一つのドアが必ず開く」と言っています。これらの言葉は、古いなにかを整理し捨てなければ新しいなにかは入らないということを表しています。
 
物理的に考えても、湯飲みにお茶が満杯だと新しく注ぐお茶は外に流れ出てしまいます。湯飲みにお茶が半分の状態であれば、残り半分の分だけ新しいお茶が入るわけです。ところが人は、新しいお茶が注がれることが本当にあるのかという疑いがあるために、なかなか今あるお茶を減らせないでいます。古いなにかを捨てることができないのです。しかしそれを捨てることができる人は、なぜか捨てた後に必ず新しいなにかと出会い、それを埋めることが偶然、または必然に起こるということを体験しているのではないでしょうか。

バランスをとるための不調

 人間の健康は地球上で1気圧のもとに生活するなかで得られるわけですが、台風が来て気圧が低くなると、いつもより身体が膨らんでしまいます。そうすると1気圧のもとでバランスがとれていた部分のバランスがとれなくなり、なにかしらの歪みが症状となって現れるわけです。低気圧になると不定愁訴※がでるという方を低気圧症ということがありますが、目に見えない気圧と身体は常にバランスをとっているのです。
 
たとえば、なんらかの病気で臓器を摘出したとしましょう。内蔵の大きさや形、位置には個人差がありますが、おおよそは決まっています。その決まっているところに当然あるものがないと身体はバランスをとろうとします。おそらく、臓器の位置が変わったり、空いた空間を脂肪で埋めようとしたり、圧に堪えきれずに背骨が湾曲したりして、後遺症のようにほかの部位でなにかがおこるのです。そしてそれが現れるには時間差があります。

歯止めの重要性

 このようなバランスをとるために起こる症状としてもっとも多いのが虫歯や歯周病ではないかと私は考えています。重心のバランスが崩れることにより、かみあわせが本来の位置でなくなり顎がずれようとして、歯に異常な力がかかり、知覚過敏やしみ、虫歯や歯周病、顎関節症になるのです。現在の西洋医学では、悪いものは排除するという部分を「整理」することでの対応が各セッションでおこなわれているために、トータルバランスを保ち「整頓」することが難しいのです。
 
以前、膝の手術後に首が痛くなり、首の手術が必要だといわれた患者さんが、手術の承諾をしなければならない日の午前中に当医院に来院されたことがありました。その方は身体のバランスの「歯止め」を失っている状態でしたので、マウスピースで身体のバランスの歯止めをかけましたら、不思議と首の痛みが消失して、とても若返ったと周りの人から言われるまでに回復されました。歯止めは大切なのです。