【16】知覚過敏  

最近、知覚過敏というものを訴える方がとても多いのを感じます。知覚過敏とは歯の根元が凍みるものです。また、歯が原因ではないのに歯が痛いと訴える方も多いです。そこに虫歯は無いのです。見た目ではわからない所に実は原因があります。その病因は身体や咬み合せの歪みにあるのです。人は生まれてから、あれはだめこれはだめとあらゆる規則の中で生活できるように訓練されます。例えば信号は青で渡り赤で止まるというふうに。ある一定の規則は人間社会の秩序を守るためにとても大切なことですが、見えないものを診る力は、その生活に浸かると無くなってしまいます。本能を目覚めさせるトレーニングが必要になるのです。数年前、知り合い数人とインドへ旅する機会がありました。それまで幾度か外国旅行は経験していて、その旅もいつもの観光旅行よろしく私は他のメンバーに付いていけばよいかと鷹をくくっていました。がしかし、そのメンバーのリーダーは最初の到着地デリーの街で、とんでもない一言を発したのです。「それではここで全員解散です。2日後の夕刻ヴァラナシで会いましょう。連むことなく皆さん個々でインドを肌で感じてください。」・・・唖然。 ヴァラナシはデリーから数百キロ離れたところにあります。未知の国での未知の体験、ぼったくられたり、因縁をつけられたり、人の温かさに心から感謝したりとたった独りの旅はまさに珍道中であったことは言うまでもありません。 言葉も通じず文化も解らないところに独り投げ出されたのですから。地位も名誉も捨てただ一個人の人として、生きなければならない瞬間・・・この感覚が私の本能を目覚めさせました。しかし、本当はこの感覚こそが今の幸せすぎる、平和すぎる日本に必要なのだと思います。 インド旅行での経験は次回以降のお楽しみとして知覚過敏の話に戻ります。 通常の治療では歯が凍みる所にコーティング剤のようなものを塗布します。これは物理的に刺激を遮断しようとするものなのですが、対症療法であり根本療法ではありません。根本を治さなければ、すぐにまた凍みだすのです。本当の原因は筋肉と骨と咬み合わせのバランスの不調和なのです。もっと簡単に言うと身体の歪みが大きいということです。身体のバランスを整え咬み合わせを調整することが根本治療で、さらにはその状態を維持できるようコントロールしなければなりません。 何度も書いていますが咬み合せの不調和は知覚過敏だけでなく、顎関節症を作り全身の症状を作りますので注意が必要です。すべてでは無いですが歯の咬み合わせと骨格の状態をコントロールできれば、色々な症状を解決出来ると考えています。頭痛、耳鳴り、めまい、首や肩の凝り、肘や手首の痛み、肩胛骨の内側の痛み、腰痛、膝痛、足首の痛みなど、広義の顎関節症に対して、歪みを取りかみ合わせを調整することにより、痛みを消失出来る可能性があります。 お医者さんで解決できない症状は、もしかしたら歯で解決できる可能性があるかもしれません。歯はとても大切です。