先日、「栄養学分野のアインシュタイン」と称される世界的権威のT・コリン・キャンベル博士が来日され記念特別講演会がありました。彼はコーネル大学栄養生化学部名誉教授を勤められ、40年以上に渡り栄養学研究の第一線で活躍されていました。
動物性たんぱく質の量が20%以上で発がん促進される
今回の講演の題目は、【正しい栄養学こそ「真の医学」といえるのではないだろうか】というもので、とても素晴らしい内容でした。
博士は酪農家の家に生まれ幼いころから、生きていくうえで、乳牛や牛乳が大変に身近な存在としてありました。しかし、さまざまな研究をしていくなかで、牛乳のたんぱく質の87% をしめるカゼインという物質が絶えずがんの発生・増殖を強力に促進させるものであるという事実をつきとめました。また、動物性のたんぱく質の量が1食の総カロリーあたりの5 % 以下では発がんを促進することは起こらないが、20%では起こるということを力説されていました。日本の食生活では、今、その当然二人に一人ががんになる環境にあるわけです。
また、植物性たんぱく質では、たくさんの量を摂取したとしても、がんの増殖を促進するようなことはなかったということです。
プラントベースのホールフードが原則で、植物性の全体食が基本なのです。
この日本の土地で考えると地物の野菜やお米、とりわけ「玄米」が最も近くて取り入れやすいプラントベースのホールフードであると思います。がんや心臓病、糖尿病、自己免疫疾患、骨・腎臓・目・脳の病気に苦しんでいる方、そして、あらゆる生活習慣病はプラントベースのホールフードが解決すると仰っていました。らくなちゅらる通信でコラムを書かせていただくことになった当初、食と題して何回か触れさせていただきましたが、植物性の加工・精製していない全体食、という方向性での再確認ができて、大変有意義なものとなりました。
植物性の全体食で予防
いま現在、アメリカの医科大学のカリキュラムに栄養学という講座がないのだそうです。栄養単体が身体にどのように影響があるのかは、解明がとても難しいからではないでしょうか。
また、博士は「栄養の教育を受けていない病気の結果をみてからの還元主義の医学のなかでは、個々のことしか診ておらず、それらは正しくなく、そのような医療は機能しない。全体の構成要素が大切で、トータルなフレームで考えることが大切である」とも仰っていました。
らくなちゅらる通信の読者の方は、既にご存じで、実行されている方も多いとは思いますが、やはりこれからは植物性の全体食で、病気を予防し、治すという考え方が主流になっていくことでしょう。そこには、虫歯も含まれます。そして、それらの一部分として歯の治療やかみあわせや整体などの加速因子がつくことになります。
近代食を取る習慣のない集落の人たちは、医者や歯医者がいなくても病気にならず健康であるのですから、これが人間の本当の姿といえるでしょう。
人間は、便利な「快」の世界を一度味わってしまうと、いくら正しいと言われても、なかなか元の環境に戻れないものです。どのような分野でも、人は〝痛みを避け快楽を得る〞方向に進んでいきます。そういった利便性や、人とのつきあい方の難しさなどが、今後の課題となっていくのではないでしょうか。経験や知識、今の状態に考慮し、その意味づけをしていくのは、あなた自身なのです。