95お口を「開く」ために

 今月のお題は「開く」。開くというと開拓とか、開いて前に進んでいくという前向きなイメージをもちます。私は歯科医師ですので、このお題に歯を絡めて原稿を書こうと思います。
 
臨床で開くというと、「お口を大きく開けてください」というやり取りが一番関係あるかなと思います。最近、お口が最後まで大きく開かない方や真っ直ぐ開かない方がとても多くなっています。お口を開ける途中でなにかがひっかかったような感じがしたり、音が鳴ったりと、顎関節症の方が多くなっているのです。
 
その原因を診てみると、まず、虫歯で歯が崩壊したとか、歯を治療して高さが変わり、かみ合わせが変わってしまったことが考えられます。かみ合わせが変わると顎の位置が変わってしまうからです。かみ合わせが正常な状態より低くなると、身体が固くなる傾向もあるようです。また、最近ではお口の中に原因がないことも多くなってきました。たとえば、姿勢が悪いことや栄養学的な問題、毒物や重金属の蓄積も原因として考えられます。
 
姿勢については、リクライニングシートに座っているときのようなズルっとした座り方をよくしている場合、腰椎が後方に変位し、背骨のS字湾曲が消失してしまい、原因の一つとなり得ます。この場合、腰をしっかり入れて座るだけで、スムーズにお口が開くことがあります。また、スマートフォンなど長時間使用することによりストレートネックになっている場合も、お口の開きにくさが起こります。姿勢を良くするためには、軽度な体操や運動、ストレッチも必要です。
 
姿勢に加えて、栄養学的な問題もあります。トランス脂肪酸の摂取により、関節、筋肉、細胞が固くなり、顎の動きが悪くなることで、お口の開きにくさに加速をかけていることがあります。この場合、トランス脂肪酸を排除し、ほかの油も控え、亜麻仁油のようなオメガ3脂肪酸を多く含む油を摂る必要があります。細胞膜は脂質でできており、摂取する油の種類はとても大切です。トランス脂肪酸は海外では規制がありますが、なぜか日本には規制がないため、トランス脂肪酸を含む食品が日本に集中して入り込んでいます。なんでもすぐに手に入る日本の便利な環境ですが、お口に入れるものは、良いものと悪いものの選別が必要です。
 
さらに、毒物や重金属の蓄積も問題です。健康を考えファステイングをしたりして細胞環境は良くなっているはずなのに、なにか調子悪いという場合、お口の中の詰め物の種類などをチェックした方がよいでしょう。お口の中にアマルガムという水銀と合金で作られた金属が充填されていることがあります。アマルガムは25度で蒸発し始めるというデータがあり、口腔内がその温度より高いと、いつも気化した水銀を吸入していることになってしまいます。それにより血液中のヘモグロビンの酸素を運ぶ力が弱まり、全身各所で酸欠状態となり、免疫がおちたり、疲れやすくなったり、運動機能が低下したりしてしまいます。歯科医院でお口の中のアマルガムを削って外すときにも大量の水銀が飛びますので、注意が必要です。アマルガム以外に食べ物でも、食物連鎖上位の大きな魚や、海や川の底に棲む魚には、水銀が多く含まれているといわれています。

新たな病気の心配も

 身体の筋肉を伸ばしたり縮めたりして動かすのには、脳や脊髄から筋肉に送られる電気信号が関係しています。身体につけている装飾品や携帯電話、時計を外すだけで、筋肉が正常に動く方もいます。デジタル化が進むなか、今、5G(第五世代移動通信システム)が普及しようとしています。大容量のデータを速く送ることができるのは快適ではありますが、新しい病気が出てこないことを祈らざるを得ません。ヒトは自然、そして宇宙と同調するものなのです。