【9】再生医療 歯髄バンク  

今回から歯の事について触れていこうと思っておりましたが、先日話題になりましたIPS細胞について少しご紹介したいと思います。京都大学の山中教授のノーベル賞受賞が決まったというニュースがありましたが、それについて今の現状、また将来どのように活用されていくのかを具体的にお話しできればと思います。私は再生医療の専門家ではありませんが再生医療機構の提携医院でありますので、その内容をご紹介させて頂きます。再生医療とは、ケガや病気で冒された組織や臓器に自分自身の幹細胞を使って元通りの形や機能を再生する最先端の医療技術です。身体は傷を負ったりしても自然治癒力と呼ばれる力で自分自身を修復再生する能力を持っています。その根本的な能力の源になるのが「幹細胞(細胞のタネ)」で、IPS細胞は幹細胞から作られます。  幹細胞は骨髄バンクや臍帯血バンクで知られる骨髄細胞や臍帯血にも存在します。しかし骨髄細胞を採取するのは身体に大変負担となったり、臍帯血では出産時にしか採取のチャンスが無いことが難点とされています。そこで再生医療の材料として理想的な細胞ソースであることがわかってきている歯髄細胞が着目されています。歯髄細胞は歯の中にある神経ですが、ほとんどの乳歯が生え替わりますし、親知らずなどは抜いてしまうことが多いために採取しやすい環境があるわけです。また歯髄細胞は、歯牙という硬組織に保護されているため紫外線や放射線を通さず、内部の酸素濃度も低いため遺伝子に傷をつける物質ができにくく、とても良い環境を保てる構造をしていることも良い条件の一つです。そして歯髄細胞からIPS細胞を作るために、抜去した歯牙から幹細胞を取り出して凍結保存しておくことにより、将来良質なIPS細胞を作ることができるのです。ご自身の歯髄細胞は 日々進化する再生医療技術にとって、かけがえのない財産になるのです。このように歯髄細胞から幹細胞を取り出し冷凍保存し、将来必要なIPS細胞を作るために保存することを歯髄細胞バンクといい、将来の再生医療の一部分を担うのは明らかなのです。また、将来どのような研究がおこなわれていくかという目安ですが、加齢黄斑変性症については5年以内、心筋梗塞については5~7年程度、火傷等で痛んだ目については7年以内、網膜色素変性症については7年以内、脊髄損傷・パーキンソン病については7年後以降、白血病・再生不良性貧血には7年後以降、肝不全・腎不全・糖尿病などは10年後以降、筋ジストロフィーについては10年後以降に行われていくようです。戦後50年のうちにラジオを聞き、テレビを見て、FAXで文字が印刷され、メールが宙を飛び携帯電話に現れ、コンピューターの人工頭脳が人間の頭脳を超えるような激動の時代の中で色々な発明や発見があり、時代に合わせて生きていくことも大切であり、そこは合わせられないと個々人の魂との葛藤を持つことも大切であると思います。色々な最先端技術や治療法が発明され苦しんでいる方の手助けになることは、とても素晴らしいことだと思いますし、できるだけ早く実現出来るように希望したいです。しかしどのようなものに対しても倫理を大切にしていくことを忘れずに、またそうすることにより何か大切な物を失わないようにしていかなくてはならないことが大切であると感じております。当医院ではかみ合わせを補正するための身体の歪みとりで、ご希望により人工頭脳を応用した外付けハードディスクを使用することができます。