11 歯の修復に使う金属の是非

 前回は口腔内環境について、口唇や舌の筋肉の発達が歯並びに関係があるということや、舌の下はとても体内に物を吸収しやすい環境であるということをお話しさせていただきました。体内に吸収しやすいという点では、お口の中に入れる化学的なもの(歯磨き粉、フッ素、その他)や人工的なものについては、とても注意し、なるべく摂取しない方が健康に良いということでしたが、今回は歯を修復する金属についてもちょっとお話しさせて頂きます。昨今はセラミックやジルコニアなど白い材料も色々な種類があり、精度や強度などがとても良くなってきていますので、歯の修復には金属を使用しない傾向になってきています。金属の種類によってはアレルギーの原因になったりすることがあるからです。 お口の中には色々な食べ物が入るので(例えば、味で言えば酸っぱい物、甘い物、苦い物、辛い物、しょっぱい物、硬さで言えば硬い物、柔らかい物、粘っこいもの、温度で言えば熱い物、冷たい物など)、そのような環境の中で歯を修復する詰め物が変化するような事があってはなりません。貴金属は極めて耐食性が高いため、溶出しにくい傾向にありますが、合金などは少しなりともイオン化し、そのイオン化した物が体内に吸収され健康を害する可能性があると言われております。お口の中に入れる金属は、アレルギーに対しては現状ではチタンが良いのですが、チタンは歯の詰め物にすることが実際の所難しいのです。貴金属の中でも金や白金、白金加金はとても素晴らしい金属です。エジプトのツタンカーメンやその他の古代の遺物は金で作られていることが多いのはご存じのとおりです。金には抗菌作用があり細菌や他の微生物の影響を受けにくく、腐敗などに対してとても強いという効果があります。また金は薄くしても伸びていく展性・延性に優れています。歯に咬む力がかかると歯には撓みが生じますが、歯の中に堅い金属が入っていると、歯の弾性と金属の弾性が違うことにより歯と金属の間に隙間が空いてきてしまいます。その隙間に食べ物が入る事により二次的に虫歯ができてしまうのです。金箔を作るには金に力を加え薄くのばしていく行程を踏むのですが、その性質を利用して歯では噛めば噛むほど圧がかかりフィットしていき長持ちするのです。金粉がついた食べ物を食べても身体には安全であるのですが、残念ながら本当に極少数の方ですが、金にもアレルギーをもつ方がいるという報告がでてきております。 女性はアクセサリーをつける機会が多いと思います。ピアスなどで皮膚に穴をあけた所に低融銀合金などの金属をつけると、その接触部分が爛れたり膿んだりしているのをよく見かけます。もちろん傷が感染していることもありますが、金属の影響もあるのではないかと思われます。低融銀合金とは、最初は銀色に輝いているのですが1,2週間すると黒く変色してくるもので、金属自体が酸化していくのです。アンチエイジングの世界ではいかに酸化しないかを考え、抗酸化物質のビタミンCやアスタキサンチン、ポリフェノールなどを摂ると良いという事が言われていますが、もしお口の中に酸化していく金属が入っていた場合は本末転倒な状態になってしまいます。常時酸化していく環境が体内にあり、それを摂取しているのと同じになるのですから、歯の修復に対しての材料選びはとても大切なのです。もちろん、セラミックや貴金属は保険がきかないので費用がかかりますが、健康を考えるのでしたら必要なのです。一番大切なのは歯を大切にし虫歯を作らないようにすることです。歯が健康の源であることを意識し、日々の生活の中で想いと食事と運動と睡眠のバランスを大切に、姿勢の左右のバランスを意識するようにして生活環境を正していくようにすればよいのではないでしょうか。