今年は酉年ですね。ニワトリは遠くまでは飛ぶことができませんが、飛べない鳥はいません(心理的に……)。ペンギンは陸上での歩みはゆっくりとユーモラスですが、海を泳ぎ獲物を捕らえる姿は、まさに空を飛ぶ鳥のように俊敏で美しく素早い動きをします。私達も心を新たに目指す物に飛び立てるよう飛躍していきたいものです。
このたび予てから学んでおりました杏林予防医学細胞環境デザイン学の認定医の資格を取得することができました。今後も身体の中から、また外から、細胞のレベルから改善回復を図れるように皆様の心と身体のアプローチにこの学びが活かせれば良いと痛切に感じています。そこで今私が言えることは、これからの医療は具合が悪くなってから症状に対処するための薬を飲むのでは無く、私達の身体の60兆個の細胞が活き活きとした状態を持続する事ができる環境を整えることだと言うことです。そのためには毎日の食事や生活習慣や人間関係のストレスなど様々な面をさらにステップアップしていかなければいけません。もちろんお口の中の状態はとても大切になります。
今回は初心に戻り歯の事について書いてみようと思います。
2つの図は、それぞれ虫歯と歯槽のう漏が進むプロセスを示しています。
(1)無症状。歯の一番外側のエナメル質の部分に黒く虫歯が進んでいるが痛みはない状態。初期の段階では場合によって白濁という透明感のない白さが出ることも。
(2)もう少し進み凍みます。
(3)痛みが出てきてズキンズキンする場合も。
(4)根が膿んでいます。ズキンズキンの痛みを超え根の先に病巣ができています。
私たちの歯は健康な場合、ピンク色の神経の部屋とその外側の山吹色の部分にやわらかい象牙質、その外側に白い色の堅いエナメル質があり、外界との隔たりを作りお口の中の細菌とのバリアとして細菌の侵入を防いでくれています。(4)の状態は虫歯がピンク色の神経の部屋まで進み完全にバリアを失っています。すなわち細菌が血液を通して身体全身へと容易に回れる状態と言えます。非常に危険な状態です。何としてもここまで進む前に食い止めなければいけません。
(1)健康な状態です。
(2)歯肉炎と言われる状態で少し歯茎に盛り上がりが出て赤みも見えます。
(3)歯周病と言われる段階です。
(4)中等度から重傷な歯周病です。
(2)ぐらいから出血が起こることがありますが、血が出た瞬間にお口の中の細菌が身体の中に入る可能性を示しています。
感染については、前述のように虫歯の歯の中から神経に到達し、細菌感染する場合と、歯周病で出血することにより感染する場合の2つの経路があります。例えると怪我をして皮膚が裂け直接骨が見えているのに何も処置をせずに砂場で砂遊びをしているようなものです。
お口の中の細菌は心臓の弁や腎臓、動脈硬化のプラークの表面に付着していることが報告されています。虫歯では死なないから大丈夫と軽く考えてはいけません。お口からの感染を排除することは身体にとって一番大切。糖尿病やリウマチなども歯の感染が原因である場合も。虫歯も歯周病も、原因は食生活や生活環境の乱れからくる歪みの発生、姿勢の変化によるかみあわせの変化など、コントロールがとても難しいことなのです。