[110]「ストレスは当然」と考え、軽やかに生きる

   車で走っていると、とくに狭い道では車道を走る自転車に注意を払う必要があります。車と自転車では走るスピードが違うので、対向車が来るなかではなかなか抜くことができません。また歩道を自転車で走る際には、今度は歩行者が前にいて、同じようなことが起こります。歩行者が横並びで歩いているときは、進めずにイライラしてしまいます。また逆に歩行者側からいえば、自転車が来ていることに気づく人もいれば、気づかない人もいます。気づいても道を譲らず、そのまま歩き続ける人もいるわけです。車、自転車、歩行者とそれぞれの立場になってみると、それぞれのスピードが違うのでお互いがお互いを邪魔と感じてしまうのでしょう。もし仮に動くスピードが同じであれば、互いがそんなストレスを感じることはないでしょうし、また道が広ければ、追い越したり譲ったりできるのでしょう。問題はスピードが違うこと、そして道が狭いことです。

 ストレスといかに向き合うか 

    人間関係においては、人それぞれ考え方は違いますし、仕事のペースもそれぞれ違います。とても要領よく効率的に仕事を終えてしまう人もいれば、なかなか先に進めず、いつも残業してしまう人もいるでしょう。話すことが得意な人もいれば、動くことが得意な人もいます。考えたことをそのまま言葉で話せる人もいれば、思ったことをなかなか言葉にできない人もいます。いろいろな人がいるなかで、ひとつの社会を成立させようとすることは、実はとても難しいことなのです。結婚ひとつとっても、男と女ではまったく人間の構造も違うし、考え方や感情の動き方、なにに対して安らぎを得るかなど、まちまちなわけです。その夫婦がいつも一緒に暮らしていくことを考えると、自分が正しいと思うことを相手は正しくないと感じるかもしれませんし、趣味や時間の使い方もそれぞれ違うのです。どうすればストレスなく生きられるでしょうか。第一に挙げられるのは自分の欲をなくしてしまえばいいということです。早く行きたいとか自分がこれをしたいという想いを消してしまえば、ストレスを感じずに生きることができます。また第二には他人を愛することです。他の人がやりたいことを応援することができる態勢にいつもいれれば、ストレスは感じないでしょう。しかし実際、私事にはなりますが、まだ人間ができていないので、日々ストレスをかかえています。                                                                                        
ストレスを抱えないということを前提にすれば、いままで説明してきた生き方も可能になりますが、逆にストレスは感じることは当たり前という前提に立ってみると、もっと楽に生きられるのかもしれません。この世にストレスを感じずに生きている人は誰もいないと考えると、自分のストレスなど、実はたいしたことではないのかもしれません。またもうひとつの方法として、自分の感情のレベルをコンスタントに一定にできればよいと思います。自分の余裕が多いときと少ないときでは、受けた心的な衝撃が同じでも、違う反応が起きてしまうわけです。ゆえに感情をある程度コントロールすることができればいいのだと思います。不意に感情が上がったり下がったりすると、自分の気持ちに自分が振り回されてしまうからです。                                                                       
このコントロールは、時間や空間に余裕があることや、自分をフラットに戻せる方法や、趣味を大切にする時間などを持つことで可能になります。また運動で心拍数を上げることでも、感情をコントロールできるようになるのです。